• 2020.09.17
  • コンサルタントvoice

コロナ禍におけるブライダル会社の現在地


今、日本は、新型コロナの影響で幅広い産業で存続の危機の直面しています。
多くの一般企業はコロナ禍の経済停滞を直接の原因として事業継続が困難になり、資金援助に重点を置いたM&Aでの買手を探しはじめている状況です。

一見、ブライダル業界も似たような状況に見えますが、本質は少し異なっています。
ブライダル業界においては、新型コロナの影響が100%起因している訳ではなく、新型コロナによって時期が早まったに過ぎないと言えるでしょう。
なぜなら、業界として既に事業承継が活発化する潜在ニーズを保持していたからです。

ブライダル業界に限らず、各産業にはそれぞれ浮き沈み、つまり、発展サイクル「黎明期→成長期→成熟期→革新期」があり、「成熟期」に入った産業においては、業界の淘汰による会社の集中が必要となり、M&Aを通じた再編が起こってきます。
ブライダル業界はまさに「成熟期」にきており、これからますます淘汰の速度を増してM&Aが活発化していくことが予想されます。

実際、ブライダル業界では4~5年前からM&Aによる事業承継ニーズが聞こえ始め、成熟期の初期段階を迎えています。
当時は、まだ業界内でM&Aによる事業承継がそれほど一般化されておらず、売手と買手が業界関係者からの個人的な紹介を通じて直接条件交渉を行うことが多く見受けられました。
しかし、直接交渉を行った結果、売手にとっては、買手の立場が優位なことが多いため無理な譲歩をせざるを得ず、買手にとっては、買収監査(デューディリジェンス)が適切に行われず買収後に様々な想定外の問題点が出てしまい、結果として、双方が当初の目論見と大きく異なり、M&Aがむしろ悪影響となってしまったケースも散見されました。
一般的にM&Aという方法が普及してきたここ数年で、ブライダル業界でも仲介会社を介したノーマルなM&Aが急速に増加してきています。

M&A仲介会社も多数ありますが、大きく「産業特化」と「マルチ(全産業対象)」の2パターンに分けられます。
マルチを指向する仲介会社は、他業界の買手との繋がりを多く保有しているため、業種を超えたマッチング(相手探し)に優位点があります。
一方で、コンサルタントが業界の仕組みや特徴を十分に把握できていないケースが多く、適確な事業価値評価ができない可能性があり得えます。

産業特化型の仲介会社は、コンサルタントが業界の特徴を把握し、多くの案件によって経験豊富なため、適確に事業価値評価ができます。
また、買手候補との直接的なパイプがあるため、売手の事業を生かせるニーズがマッチする買手候補を、数多く、短時間で引き合わせることが可能です。

産業の一般的な発展サイクルで「成熟期」を迎えて既に4~5年が過ぎ、M&Aが起こるべくして起こるブライダル業界。
新型コロナによって、いずれは選択を迫られるM&Aの検討時期が早期に到来してきている今、買手企業にとっては、優良な案件を見つけることができ、売手企業にとっては、早期のアクションにより、多くのメリットを受けることができる良いタイミングが来ているとも言えるかもしれません。