• 2021.01.20
  • コンサルタントvoice

コロナ禍の長引く中でのブライダル業界M&Aの見通し

 

ブライダル業界のM&Aの取引数は、コロナ禍の初期段階の2020年4月に想定していたものよりも実際は少ない状況です。

 

以前のコラム「コロナ禍におけるブライダル会社の現在地」でも書いていますが、ブライダル業界は既に成熟期を迎えていて、業界再編の時期を迎えていて、潜在的な案件は非常に多くあります。

 

今回のコロナ禍が一段落した場面で、各社とも今後の収益状況がある程度予測できるようになり、その際に、足下の状況と併せて長期的な見通しを元に、M&Aを通じた会社や事業の譲渡を現実的な選択肢として、実際に相手先探しを開始することが想定されていました。

 

ところが、コロナ禍は収束するどころか、2021年1月に入ってより深刻になっていて、2回目の緊急事態宣言が発令する状況となっています。

 

政府として経済への負の影響を抑制するために、無利息無担保での事業資金の貸付けや雇用調整助成金を通じて企業の存続を後押ししていて、ブライダル業界でもそれを活用して何とか踏ん張っているという会社も多い状況です。

 

ただ、政府の助成金はいわば応急処置であり、今後も恒久的に活用できるものではないですし、無利息無担保の貸付金も、企業にとってはいつかは返済を要することから、先々の不安まで解消することはできません。

 

また、金融機関としても、債権の回収可能性を見極める必要があるため、今後、先延ばしになっていた結婚式予約がコロナ禍の長期化によりキャンセルや縮小開催が頻繁に発生した際には、貸付先に対して何らかのアクションを要請することになると予想しますし、そのタイミングは差し迫っていると言えます。

 

コロナの早期収束の可能性をあまり期待できないなか、2021年内にブライダル業界のM&Aが一気に加速する可能性は非常に高いと言えるでしょう。